[Interview]要らないものはつくっちゃいけない。ものづくりで大切なこと / 100percent坪井 信邦(前編)

最終更新: 9月20日


只管(ただひらすら)「100%」を追い求め、ゆるぎない価値観を生み出すことをコンセプトに掲げ、ものづくりに挑むプロダクトメーカー株式会社100percent(以下、100%)。手がけるアイテムはどれもロングライフなアイテムばかり。「いったいどうやってそんなプロダクトを生み出し続けているんだろう?」と以前より抱いてきた疑問を解消すべく、設立16年目を迎えた100%の代表取締役 坪井 信邦さんに丁寧なものづくりへの向き合い方についてお話を伺いました。僧侶としても活動されている坪井さんならではなの物質社会から一線を引いた視点から生まれる思考を深掘りしました。


―(liil篠原、以下略)100%ではどのような商品を展開されているのでしょうか?

(100percent坪井 信邦、以下略)初期の頃からの商品は、「Lamp/Lamp」という電球と、「サクラサクグラス」というタンブラー、「マグネットタック」という磁石の画鋲などですね。

CAP:Lamp/Lamp

CAP:左から)サクラサクグラス、マグネットタック 少しユニークなものだと「G20大阪サミット2019」の各国の来賓への贈答品に選出された、折り紙の発想から生まれたレンズクリーナー「Peti Peto(プッチペット)」など、生活に必要なアイテムに遊び心のエッセンスを加えたアイテムがあります。

―「Peti Peto」は100%のなかでもシンボリックな商品だと思います。開発秘話などを教えていただけますか?

CAP:折り紙で作る動物をモチーフにした「Peti Peto」。ポリエステル素材にプリーツ加工を施すと形状記憶するという特性をいかし、広げても折り紙のかたちに戻る布が完成した。 「Peti Peto」のデザインは、インテリアデザイナーの西脇佑さんと手掛けています。以前から100%のファンとおっしゃっていただいたのが縁で、一緒にものづくりができたらとご提案をいただき、「Peti Peto」を一緒につくっていきました。 当初のアイデアは、食事で使うナプキンでした。そこから折加工をほどこすなど、試行錯誤を経てプリーツ加工に辿りつきました。素材は、コットン100%などの天然素材を使いたかったんですが、プリーツがかからないため、ポリエステル100%の生地に変更という過程を経ていきます。そうなると生地としての吸水性がなくなり、ナプキンには不向きということで、携帯や眼鏡を拭くレンズクリーナーへと用途を変更していきました。


CAP:広げた布をポンポンと左右にのせていくだけで、元の形状に戻る 発売後は、想像を超える人気となり、あれよあれよという間に知名度が広がっていきました。2019年の「G20大阪サミット2019」では日本国から注文をいただいて、主賓に対してのギフトで採用いただいたり、数年前は外務省の北方領土担当の方へ「Peti Peto」の鶴を納めました。日本とロシアとの外交にツールとして使っていただけたのかと思うととても嬉しかったです。

ありがたいことに今も企業コラボレーションのお声がけをいただいています。以前は、航空会社や空港からのご依頼もありました。海外の方にとっては機内に持ち込んでも軽いので、手土産にぴったりなんですよね。生産してくれている工場の人たちも、「もう何羽折ったんだろう?」って、分からないぐらい折っていただいてます。笑

手で折ってるんですか!?

「Peti Peto」ができるまでの工程で手で折ってる部分もあるんです。なので「G20大阪サミット2019」のニュースを聞いて、工場の方もとても喜んでくれました。折り紙という手法を使った鶴モチーフのアイテムが世界中に羽ばたいていくのは嬉しいです。

プリーツ加工って、スカートやカーテンなど、身近にある加工ですよね。でも見せ方を変えるだけでこんなにヒットに繋がるんだと、自分たちにとっても盲点でした。技術の活かし方を気づいていなかったんだと。もちろん、それも工場の人が一生に辛抱してやってくれたお陰です。

オリジナル商品のみならず、ディストリビューターとしても活動を行っていらっしゃいます。テーブルウェアブランドの「TG」glassについても教えていただけますか?

100%は台湾とドイツに支社があります。特に台湾はデザインで国を立てていこうという気運がとても高く、日本という市場を求めて台湾メーカーは、日本への進出を目指しています。でも、いきなり日本で売るのは大変なので、代理店を探しながら日本展開を目指しているときに、台湾に会社を持つ100%に目を留めていただいたんです。

日本でもそれなりの販路を持っていて、しかも100%の商品が好きと言ってくださる台湾のブランドやデザイナーさんも結構多く、そういう方たちが「自分たちの商品を日本で売ってくれないか?」と売り込んでくれて。そんなご縁から2社ほど台湾ブランドの代理店をしていました。

―その流れから「TG」へと繋がっていくわけですね

台湾で多くのキーマンと出会うなか、世界三大ガラスメーカの「台湾ガラス(TG)」が深澤直人氏を起用して、BtoC向けの自社商品を展開するという情報が入ってきました。すでにアイテムはできあがって、それをどうやって日本で売ってこうかと相談をいただきました。その時はすでに70SKUできている状態だったんです。 ―それはすごい(笑)。一気に70アイテムもつくるっていう

そうそう。パッケージもしっかりできいるところで、お声がかかって。ちょうど出張で台湾にいたこともあり、「未来市」※で「TG」の実物を拝見しました。 ※「未来市」は、好様(VVG)グループを創設した、「台湾におけるセレクトショップ界のパイオニア」と言われれるGrace(グレース)が新たに始めたプロジェクト。質の高いブランドを紹介するスペースとなっている。(https://www.thegalaasia.com/

「TG」のテーブルウェアのラインナップを見て、「すごく素敵だと思います」とGraceさんに言ったら、ちょっと、本社に行けないか?となり、急遽予定を変えて「TG」の本社と社長の奥様が運営されてる台湾の文化機関 Xue Xue( シェイシェイ)へいきました。そこで「坪井さん、代理店をやってもらえませんか?」と言われて、その場で「わかりました」と言ったのが「TG」のご縁です。

―そこから急ピッチで日本展開していったんですね

今では日本でもどんどんお取引先も増えています。バイヤーさんも、台湾に対しての信頼感を持ってくれるのが伝わりますね。実際「TG」に触れてもらえると、「これはいい」と思ってもらえるんです。もちろんデザイナーが深澤氏であることも大きいのですが、目利きの方に認められ販路も広がっています。新作も8種類ぐらい追加され、輸入も始まり少しずつですがアクティブに動いています。 ― 日本展開に向け、深澤直人氏ともお打ち合わせをされてましたが、どんなお話をされたのですか? 「TG」にすごく力を入れているのがお話を通して伝わってきました。ittalaを越えるんだっていう気持ちを話されていたし、もちろん私もそう思っています。普通、70種類作る前にデビューすればと思うところを5年の歳月をかけ温め続けて膨らまし、70まで増やしていったというのも覚悟が感じられます。 後編へ続く >>

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